昨日から急に寒くなってきた。
寒いのは風の強い日以外は特に嫌いな季節でもない。
しかし若い頃は冬が大嫌いだった。
子供の頃から寒いのは苦手で、あまりいい思い出もないし夏の暑い日に太陽の下で走り回ってるのが好きで真っ黒に日焼けしてる子供だった。

おじさんがまだ20代前半で歳くってウミガメにモデルチェンジする前の頃。
今みたいにメタボでもなくフサフサの髪を茶髪にしたりして若干コミュ障のせいでモテたわけではないが、普通に彼女もいるようなカーストに所属していた。
その当時付き合ってた彼女が自分でバイトして専門学校に通い看護師さんになった人で、優しいけど自分の中に芯を持っててフラフラ生きてた自分には尊敬と自己嫌悪が入り混じって少し眩しい存在だった。
真冬のクソ寒い日に彼女と出かけた日に「あぁ~寒い寒い、無理~」とその彼女に愚痴を言ったら、彼女が「私、冬って好き。この”凜”とした空気がしっかりしなきゃって背筋がピンとする」と微笑んだ。
その言葉を聞いて自分とは真逆の価値観に触れた瞬間に、そういう見方や感じ方もあるんだなとハッとした。
確かに言われてみれば風さえ吹かなければ空気は澄んでるし、晴れた日の突き抜けるような空もキレイで、ちゃんと着込んでいれば首元を撫でる冷気も心地よく張りつめた様な寒さも自分の捉え方次第では悪くない。
そして何より「寒いね」と言いながら寄り添う彼女の温もりは心も体も暖めてくれた。
それからは冬という季節も少しだけ許容できるようになった。

しかしあれから20数年経ちウミガメにトランスフォームした今、1周回って冬が嫌いだ。
寒いわ、腰痛いわ、膝痛いわ、車のガラスは凍るし、服を着込むのも面倒だし坊主にした頭は寒いを通り越して痛い。
そして何より50過ぎて彼女なんかいるはずもなくチャイエス探検が趣味になった現状での切実な悩みは「チャイエスで裸になるのが苦痛だぁぁ~!!もっとシャワーの温度上げてよ上海ハニー!!」
昔は彼女の温もりで暖を取ってたのに今はチャイエスの電気毛布の暖かさにホッとする。
心も体も凍てつくわ。
あの頃は凛とした空気に背筋を伸ばしてたのに今は寒さで背中が丸まるばかりだ。
しかし冬はまだ始まったばかり、苦行の数か月が続く。
以上
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